1.歯科診療におけるデジタル化:デジタルデンティストリー
歯科医院におけるデジタル化はデジタルデンティストリーと呼ばれています。
例えば、レントゲンについては、アナログレントゲンの場合には、撮影後の現像のためには、現像液を使って人が現像する必要があります。
しかしながら、デジタルレントゲンであれば、アナログレントゲンと比較して、現像液などは必要がなくなり、現像のために必要であった時間を大幅に短縮することができます。
また、デジタルデンティストリーの他の例として、口腔内スキャナ―を挙げることができます。口腔内スキャナーで歯列を撮影することによって、すぐにパソコンなどの端末の画面上で歯列の状態を確認することができるようになります。そのデータを活用して3Dプリンタにて歯列模型や補綴物を作成することもできるようになっています。
人が行う作業には量的にも質的にも限界があります。デジタルデンティストリーが進み、歯科医院で行われる作業や取り扱うデータを可能な限りデジタル化することで、以前よりも診療を効率的に進めることができるようになってきています。
2.これまでの当院のデジタル化への取組み
当院はデンタルレントゲンの導入によって、10年以上も前から治療のデジタル化を進めてきました。
前述のとおりに、アナログレントゲンですと、どうしても画像に不鮮明な所が出てしまったり、現像まで時間がかかってしまい、患者さんをお待たせしていました。
また、現像を当院スタッフが行いますので、スタッフが現像作業にかかりきりになることでも、患者さんをお待たせすることに繋がっていました。そして何より、放射線による被曝量をアナログレントゲンに比べて大幅に削減することができ、患者さんへの身体への影響も大幅に減少させることができました。
このように、レントゲンをデジタル化することによって、当院の治療の質と効率化の向上を図ることができ、診査・診断の精度の向上、患者さんをお待たせする時間の大幅短縮を実現することができました。
また、当院では、患者さんの診療報酬を各保険団体に請求する作業もデジタル化いたしました。以前は用紙に印刷して、請求をしていましたが、デジタル化することにより、用紙に印刷する必要がなくなり、作業の効率化を図ることができたばかりか、環境への配慮も行うことができました。
3.今後の当院のデジタル戦略
前述のとおりに、レントゲン撮影をデジタル化したことによって、治療の質と効率化の向上を図ることができました。
しかしながら、現在インプラント治療においては、CT撮影は必須とされております。なぜなら、インプラント体の埋入時には、目に見えない神経や骨の状態(構造)を3次元的に把握する必要があるからです。
その他の治療においても、埋伏智歯(親知らず)の抜歯や根管治療(歯の根の治療)等でも有用とされています。
また、前述の口腔内スキャナーを導入することで、型取り時の嘔吐反射の激しい患者さんへの苦痛が大きく軽減されます。歯列のデータを電子的に歯科技工所に送ることができるようになるので、補綴物が今までよりも短時間で納品されることとなり、患者様の口腔内にも早期に装着できるようになります。
従来型の型取りで必要となっている印象材(3分程度で固まるゼリー状のもの)や、歯型模型を作製するための石膏等も不要になるので、環境への配慮をさらに進めることができます。
4.今後の当院のデジタル化戦略を実現する体制
当院院長が責任者となり、機器の選択から導入を行います。導入した機器の利用法を当院スタッフに正しく説明し、全スタッフが導入した機器に対して正しい知識を習得して、適正に使用できるようにします。
これによって、患者さんの診療に役立ていていこうと考えています。機器の導入後も、定期的に院長とスタッフとのディスカッションを行い、機器を使った診療の質の向上を図っていきます。